Bach Early Elkhart #92609

先輩トランペッターから譲り受けたアーリーエルクハート・バック、180ML 37/25。

(アーリーエルクハート・バックについては「Bach Early Elkhart #31134」をご覧下さい)

シリアルナンバーは#92609、1973年製。ほとんどノンラッカーです。

いつ頃までの楽器を“アーリーエルクハート”と呼ぶかは諸説ありますが、“Vincent Bach氏生前の、ピストン・ケーシングが2ピースのモデルまで”というのが定説のようです。

同じアーリーエルクでもこの楽器はメインで吹いている#31134より8年新しく、細かなディテールの違いが見られます。

「CORPORATION.」に代わり「®️」とベルに刻印

アンダーシーム、ノーマルな丸められたベル縁

ベル直径は現行品と同じ

1番スライドは好みでノーマル式に組み直し支柱を立てていますが、元々オートトリガーで(カニ目にネジ穴、バルブケーシングに丸い溶接痕)リバース式でした。

さらに、ピストンにシリアルナンバー刻印無し、3番管ロッドが着脱式、延べ座は現行モデルと同じ大きさ…等々、だいぶ現行Bachに近づいています。


2ピース・バルブケーシング、尾ヒレ付指かけ、鉄芯ワイヤー入りベル縁はメインのアーリーエルクと同じです。


Bachは個体差が大きいとよく言われます。

左にこの楽器(#92609)、右に同じアーリーエルク(#31134)を置いていろいろ見てみると…

まず2番管の内管の長さが明らかに違います。太さや幅も微妙に違い、まったく互換が効きません。

写真では上手く伝わらないのですが、ベルに対するピストンの位置、それに合わせてレシーバー~マウスパイプ~スライドの位置も違います。

延べ座の位置も違います。延べ座は手前側(バルブ側)にある方が良いとされていますが、写真左の楽器は何故かとても良く鳴り、反応もいいです。

刻印の位置も違っていますが、これは今まで見てきた部分とは逆方向にズレています。


いろいろ個体差が見られるのは、アーリーエルクが一本一本職人の手で作られたことを物語っています。部品ごとにライン生産して組み立てる現代の量産品とは違い、手作業で一本ずつ製作した意気込みが感じられます。こういう楽器を吹けることは大変ありがたいですし、ラッカーが剥げ落ち酸化していても美しいと思ってしまいます。

リードパイプ裏側、親指の当たる箇所にはパッチが施されています。穴が空くまで使い込んだんでしょうが、パイプ交換ではなくパッチを当てているのがヴィンテージ楽器ならではだと思います。


トランペット 菅野 淳史 のサイト

trad-jazz trumpeter Atsushi Kanno's website